イヴァリース・アライアンス

 松野泰己氏がスクウェアに入社した1995年頃考えた一つの大きな世界観が『イヴァリース』。同氏によると面積も広大で、長い歴史を持っている、架空世界で歴史や文化など先に設定し、その世界の中で実際にあったかのような事件をドラマとして描いていくのが自分の手法だという。架空の地理・歴史を作り、ある時代のある地域を断片的に切り取っていくことで全体の世界観を描いていくのが好きであるとも語られている
(余談:前述の手法というのは松野氏の手がけていたオウガシリーズにもあてはまると思われる。ゼテギネアの神話や歴史といった大きな世界観の一部として全8章からなるオウガバトルサーガはある。ゼテギネアも世界の一部であり全世界が舞台となっていないのも共通した部分)

 この世界観やイヴァリース史の一部を切り出して
ファイナルファンタジータクティクスファイナルファンタジータクティクスアドバンスファイナルファンタジー12が制作されている。各作品はイヴァリース地域が舞台と思われるが開発の諸事情で細かい差異が存在するため、世界観の共有というスタンスだと説明される。各作品はイヴァリースの世界の別の時代・別の地域を切り出して各作品毎にゲームとしての都合上世界観的に変化を加えたものといったところだろうか。
 ベイグラントストーリーに関しては松野氏の中ではイヴァリースではなく独立した世界とのこと。ただFF12の発売時の雑誌ではベイグラもイヴァリースと紹介されていた(ただしその後の攻略本や雑誌などではイヴァリースの可能性がある程度に留まる)。そうなると松野氏の中では古代キルティア時代と関連するFFTA・FFTA2・ベイグラとイヴァリースは別の世界となる が、松野氏がスクウェア・エニックスを退社されているので現在の扱いは上記の通り。以下の考察はベイグラもイヴァリース史の一部としての考察となっている。
 2005年8月、FF12公式サイトで病気を理由に松野氏のプロデューサー・ディレクター降板が発表され、ほどなく同氏はスクウェア・エニックスを退社。
今後のイヴァリース関連作品には松野氏は関わらないものと思われる。
 2006年12月発表された構想で、イヴァリースが舞台でありながら、異なる開発チーム・異なるゲームデザイン・異なるプラットフォーム等からなるタイトル群が集い、Ivalice Aliliance(同盟)として取りまとめたプロジェクトが立ち上げられる。
 スクウェア・エニックス取締役開発担当・河津秋敏氏がプロデューサーとして立ち上げた総責任者。同氏はFF12において松野泰己氏降板後にエグゼクティブプロデューサーとして引き継いだ人物でもある。
 今まで発売されたイヴァリース関連作品がイヴァリースという世界の上に成り立っていることを伝え、より多くの人に遊んでもらおうと思ったのが発端。以前の作品同様異なる時代・異なるキャラクター・異なる時代・異なるジャンルで描かれることになる。イヴァリースという共通の舞台から色々なタイプのタイトルが集うという意味でイヴァリースアライアンスを作ったとのこと。
 プロジェクトロゴはイヴァリースの設定で重要な意味を持つ十二宮と剣と石のイメージで吉田明彦氏がデザイン。
 第一弾ファイナルファンタジーXIIレヴァナント・ウィング(NDS)
 第二弾ファイナルファンタジータクティクス獅子戦争(PSP)
 第三弾ファイナルファンタジーA2 封穴のグリモア(NDS)
 2006年12月に三つが予定され、今後はイヴァリースを中心として色々なスタイルのゲームに挑戦していこうと思っているとのこと。
 過去のイヴァリース作品で語られていなかったことが別の作品で語られることもあるだろうし、新たな謎が出てくるかもしれない、その点については変に制約を作らずにのびのび描けたらいいと思っているとのこと。
 アライアンス(同盟)と名づけたかあらには一つや二つの作品で成立するプロジェクトとは思っておらず、全く新しいアライアンスタイトルを発表することもあると思うとのこと。
 鳥山氏・横山氏主導の初めてのFFをコンセプトにしたゲームが2005年年末にFF12の世界を舞台にDSで作ることが決まり、FF12RWとなったことからこの辺りの時期からこのプロジェクトは始まっていると思われる。

イヴァリース地域

 イヴァリース関連作品の舞台となっているイヴァリース地域は世界の一地域である。
 オーダリア大陸・バレンディア大陸・ケルオン大陸の3つの大陸から構成され、大気中にミストが漂い、これを利用して魔法や機工学が発展。
 FF12はオーダリア大陸のガルテア半島を中心としてバレンディア・ケルオン両大陸の一部を含んだ地域を舞台としている。
 FFTの舞台の位置は、FF12アルティマニアからオーダリア大陸南西部にあるという モーグリの都ゴーグが、FFTの機工都市ゴーグと同じ位置にある都市と仮定した場合を考え、更にFFTの地図にFFTA2の地図をゴーグの位置で重ね合わせたもの。
 FFTA2がオーダリア大陸・ロアル大陸にまたがるユトランドが舞台でゴーグも登場している。しかしゴーグ近辺のオーダリア大陸の地形がFFTと大幅に違っている。
 FF12・TA2の数十年後がアジョラの時代だとすると、さすがに地形が違いすぎると思うが詳細は不明。
 またTA2のマップは行けない大陸の場所は最初黒くなっており、全ての拠点に行けるようになった後もオーダリア大陸の東・ロアル大陸の西部分は黒くなっており、それぞれ陸が続いている可能性がある。FFTの地図から考えてオーダリア大陸はTA2のマップより東側に陸が続いていると考えた方がいいかも。またロアル大陸もTA2のマップではオーダリア大陸の極一部の大きさと同程度の大きさになってしまうので西側に陸が続いてると考えるべきかもしれない。
 FF12RWの
グレバドス遺跡は下図のようになっているがベルベニア地方を含めてFFTのベルベニア・グレバドスとは別のものと思われる。このあたりはFF12RW発表当初パラレル的なことをインタビューで語られている。
 またガルテア半島の西はロザリア帝国領だがハントカタログの話からFF12時代のFFTの地域には世界最強の飛空艇師団を持つバロン王国が あると思われるがユトランドあたりにそのような国はなく、ロザリア帝国の影響がみられる。
 ベイグラは舞台がバレンディア王国という名称からバレンディア大陸のどこかが舞台の可能性がある。
 FFTAの舞台がどの大陸かの手がかりはないがイヴァリース地域のどこかと思われる。

 


以下考察(各作品のネタバレ等有)

 松野氏によると、FFT・FF12は自分の構想の中では続いており、FFTはFF12のもっと未来のイヴァリースで世界観的に一連の繋がりはきちんとあるとのこと。その為FF12は高度な文明が失われる前と思われる大崩壊前の文明が発達した時代と考えられる。FF12の後世であるFFTでも亜人種を使いたかったが制作進行上の理由で没になったとのこと。獅子戦争(FFT)当時にはマインドフレイア(マインドフレア族)とン・モゥ族が魔道に堕ちた姿であるピスコディーモンが登場。ゴブリンはバクナムス族だろうか。

 FF12にFFTのルカヴィ達(FFTAではアルテマ・アドラメレクは神獣として登場)が召喚獣として登場している。制作発表会当初あったFFTと同じプロローグはなくなり、彼等の存在もあまり物語に関わりを持っていない。FFTAではゾディアックストーン(聖石)の形をしたクリスタルを守護するのが神獣(FF12の一部召喚獣)であり、当初FF12はゾディアックブレイブのワンエピソードだったのかも。FF12では聖石と同じクリスタル(魔石)である破魔石が登場しているが、聖石そのものは物語と関係しない。作曲時にFFT・FFTAの曲を意識したかという質問に対して崎元氏は、当初なるべく関連させる方向だったがゲーム制作段階でそれほど密接なつながりがなくなったので、最終的にはあまり意識しなかったと答えている。物語や設定などがFFT・FFTAとのつながりがあまりなくなったという可能性がある。単にゲーム中の音楽での密接なつながりがなくなったという意味かもしれないが。

 FF12の中でベルベニアのクレバドスの秘宝なるものがあり、聖アジョラの時代より後という説がある。ただクランレポートの記述が曖昧な為、FF12は聖アジョラの数十年前という説もある。またFF12のクランレポートにおいてFFTの秘境で登場するバロン王国と思われる国の記述が存在する。
 アルティマニアΩではアジョラ登場はFF12の数十年後となっている。しかしグレバドスの秘宝がアジョラ以前のものとなってしまうので、そこらへんの整合性は不明。FF12RWで登場するグレバドスの秘宝はベルベニアの氏族であるグレバドス一族が隠したと噂されたものであるが、RWのグレバドスの秘宝はRWオリジナルの設定と公言されている為どう判断するべきだろうか?

 ベイグラントストーリーの中で十二宮物語の記述があることから、グレイランド事件(ベイグラ)は獅子戦争の後世と思われる。アラズラム・J・デュライは獅子戦争の400年後にブレイブストーリーを書いており、ベイグラで彼の言葉が引用されていたりする。アラズラムの時代とグレイランド事件はどちらが後の世界だろうか。
 グレイランド事件の2000年以上前
古代キルティア時代のメレンカンプの時代には日常的に魔法が使われていたという。しかし、グレイランド事件当時は既に魔法文化は一般的には廃れ邪悪なものとされている。魔法の力を見た聖印騎士が驚いていたことから、本当に存在することを知っている人間は極一部だろう。また、ベイグラではドラゴンやモンスターの存在は伝説となっている。アラズラムの時代では、魔法が使われていたかどうかは不明だが、歴史の真実を解明しようとしたブレイブストーリーの中で魔法が普通に登場していたり、ドラゴンやモンスターが登場している。デュライ白書の解釈を巡ってミュロンド派と争っていたということから、当時の人々にとって魔法の存在などは認識されていたと思われる。アラズラムの時代はグレイランド事件のかなり前の時代なのではないだろうか。

 また、FFTA現実世界はベイグラと同じく古代キルティア時代終焉後の世界である。自動車やテレビ、テレビゲームといったものがあり、ベイグラよりも後の時代で、わりと現代の世界と考えられる。ラテン語が存在することからイヴァリース地域は現実の大陸や地域などの架空の歴史といった可能性もある。
 FFTAの異世界イヴァリースは、主人公達
が遊んでいたゲーム「ファイナルファンタジー」(FF12)と、「FF」と呼ばれる魔導書グラン・グリモアに記された遠い昔の英雄譚に影響され、現実世界から逃避してできた世界である。FF12と似たような部分はあるものの全くの別物の世界とのこと。
 古代キルティア時代のことをうかがい知ることのできる手がかり、
グラン・グリモアの内容にFF12にも登場する亜種族の記述があると思われる(マーシュ達が本を読んでいるシーンでヒュム・バンガ・ヴィエラ・モーグリ・ン・モゥの絵と共に文字が表示される)。古代キルティア時代もイヴァリースの出来事であり、大洪水によって魔法文化が失われ終焉したものと思われる。古代キルティア時代終焉後のベイグラ・FFTA現実世界では魔法が一般的に廃れている。またFF12のストーリー紹介ではいずれ魔法が当たり前でなくなることが匂わされている。これらのことからFF12・FFTの時代は古代キルティア時代と考えられる。

 FF12においてキルティア教と呼ばれる宗教がFF12の2000年ほど前に成立している。FF12において神の時代が数千年前となっていることから、古代キルティア時代はキルティア教成立の辺りが始まりなのだろうか。

 FF12ではイヴァリースに偏在する不思議な力の総称をミストと呼ぶ。魔法の使用や召喚などに使用され、ミストを含む石「魔石」は浮力や機械の動力として利用される。
 ベイグラの魔法は実体のないパワー“魔”を利用した術のことであり、古代キルティア時代には魔法が日常的に使用されていたとされる。メレンカンプのいた時代以前に"魔"を原動力とした機械仕掛けの邪神像が製造されている。このように魔もミストも魔法を使用するのに利用され、機械の動力源となったり浮力を作り出している。ベイグラにおける“魔”はFF12における“ミスト”に相当するものと考えられ、設定の差異はゲーム開発上によるものか、時代の流れによる変化だろうか。

 またグレイランド事件の2000年以上前のメレンカンプの時代はどの位置にくるのだろうか。魔を利用した機械仕掛けの人形が、メレンカンプ以前に作られていることから文明が発達していた時代以降とは考えられる。
 メレンカンプが"魔"の利用法を広めるために作ったグリモアはFFTでは登場してないが、古代キルティア時代終焉後のFFTAのグラン・グリモアにはFF12で登場する一部種族の記述が存在していると思われる。現在のところどの位置にくるのか特定できる材料があまりない。仮にFFTより後の位置においておく。

 RWについてはFF12の何年後といった時期の限定はしないと説明されているが、アルティマニアでは前バレンディア歴707年となっている。FF12本編でも名称だけ登場したグレバドスの秘宝(本編ではクレバドスの秘宝)が物語に関わっているものの設定自体はRWオリジナルと説明されている。有翼人に関してもFFTで語られてはいるので元々あった設定を一部流用した可能性がある。

 FFTA2に関しては主人公のルッソが魔導書の力でFF12と同じ世界のほぼ同じ時期(RWより後と思われる)に飛ばされたところから物語が始まる。ルッソのイラストにSt.イヴァリースの学校の校章が用いられておりFFTA2現実世界はFFTA現実世界と同じ世界で、過去に飛ばされるのだろうか。あるいはルッソは異世界からイヴァリースにやって来るのだろうか。

 以下世界の流れの予想

天地創造の時代

神話の時代

神の時代

古代ガルテア時代
(剣と魔法が栄えた
古代キルティア時代の始まり?)

ガルテア連邦時代

超文明時代
(科学は発達しているが錬金術がそれ以上に発達した剣と魔法の時代)

伝説の大崩壊

超文明衰退
(科学・機工術の大半が失われた剣と魔法の時代)

大洪水・古代キルティア時代終焉
(魔法文化が失われる)

古代キルティア時代終焉後
(科学が発達していく時代)

更に細かく分けていくと…

天地創造の時代

神話の時代
(ゾディアックストーン誕生)

神の時代
(オキューリア族がイヴァリース全土を支配)

古代ガルテア時代
(オキューリアが歴史の表舞台から去る)
(古代ガルテア人がイヴァリース全土に文化圏を形成)

キルティア教の成立
(
古代キルティア時代の始まり?)

オーダリア大陸南西で
イヴァリース統一戦争
(魔法文化の発展)

ゾディアックブレイブ登場
(時代を超えて人間が争いに巻き込まれる都度現れたとされる)

ガルテア連邦時代
(古代ガルテア時代の終焉・前バレンディア暦1年)

ガルテア連邦解体
(前バレンディア暦394年)

超文明時代
(飛空艇や機械・電気が使われ、魔法も使われる)

前バレンディア暦706年
(オキューリアの歴史への干渉がなくなる?)

前バレンディア暦707年(FF12RW)
(ヴァンの年齢上707年辺りになるはずだが時期は限定されていない)

聖アジョラの時代
(これ以後聖石を見た者はいないとされる)

伝説の大崩壊
(高度な文明が失われた原因と思われる)

デナムンダ一世が畏国統一

畏国中世(FFT)

アラズラム・J・デュライの時代
(獅子戦争から400年後)

メレンカンプの時代
(グリモアの普及・魔の利用法を広める)

大洪水(魔法文化崩壊)

古代キルティア時代終焉

ノアの方舟
(詳細不明。これで人類は助かる?)

聖ヨクス誕生
(古代キルティア終焉後と言われる)

バレンディア王国建国

バレンディア王国内戦

新バレンディア王国へ

グレイランド事件(VS)

St.イヴァリース一変(FFTA)
(科学が発達した世界)

 イヴァリースは崩壊と再生を繰り返してるような感じを受ける。高度な文明の衰退に関係していると思われる大崩壊。これによってとエウレカが壊滅、有翼人滅亡、その衝撃で地中内の浮遊石のバランスの変化によって魔大陸ができたり、試練の城が失われた。
 魔大陸の話から地中内に衝撃を与えたものと考えて、大崩壊は大地震か巨大隕石の衝突みたいなものだろうか。ちなみに海外版で大崩壊はgreat impactやruinなどと訳されている。
 剣と魔法の栄えた古代キルティア時代は大洪水で終焉を迎えたと思われる。
 この他空想魔学小説においてラストログ島でかつての人類が終焉を迎えたとされているが、これはFF12で紹介されている謎の滅亡を遂げた古代の民のことだろうか。

 イヴァリースの考察は無題さんでもされてますので参照してみてください。

※補足
 世界の流れの順序はあくまで仮定で順序が確定していない部分があり、ところどころ入れ替わる可能性がある。具体的には…
 ゾディアックブレイブが初めて登場したのが飛空艇などの文明が発達する前なのかどうか不明。
 デナムンダ一世が畏国を統一したのは大崩壊の後かどうかは不明。
 大洪水とノアの方舟の関係ははっきりと語られてるわけではない。
 バレンディア建国が大洪水の後かどうかは不明。
 聖アジョラの時代がFF12より後かどうかは不明。

※関連
イヴァリース史
イヴァリース歴史年表

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