パラティヌス王国 |
約250年前ガリシア大陸に建国。
金の民と藍の民を一つにまとめた開闢王が、黒の大地に築いた国家。
バーサ教のもたらす豊穣に感謝し、祖先の時代から続く恵み多き大地を、未来永劫に存続させる事が、国民の義務であり王家の役目である。
バーサ神の加護を受けた古代の王、そしてその血を継ぐと言われる開闢王直系の子孫が神の加護を引き継ぐ者として王となる。
建国後、しばらくは大きな争いもなく、平和な時期を過ごすが、ローディスの侵攻で初めて対外的危機に直面する。
当時の国王プロカスはそれまでの専制による統治から、管轄軍を中心に据えた軍轄区制に変更。中央・西部の各軍の増強を図り、有事に備えたが、その効果が実証されることはなかった。
パラティヌス王国暦239年ローディスの侵攻により抵抗も早々に降伏。従属支配を受ける。ローディスの命に従いニルダム王国東部を併合し、南部地域を制圧した。
中央の決定に不満をもつ下級民と東部の者たちは反乱を起こすが、失敗。これを重く見たローディスは下級民から多くの権利を奪い、上級民にはその地位を保証することとなる。 |
■紋章
王国の紋章はざくろの実をモチーフとしたもの。ざくろは、開闢王がバーサから加護を得たときに与えられたものだと言われており、その形状が王冠をまとったように見えることから王のシンボルとされている。 |
■軍轄制度
パラティヌス王国暦224年、国王プロカスの即位した際、それまでの専制統治を軍轄区制に変更。4つの地方に各々領主となる将軍を赴任、各地方を管轄軍中心となって統治するというもの。これによって、状況に応じた軍備増強と、有事への素早い対応を可能にした。
各軍の統括には第一皇子アムリウスが担当している。中央将軍にはアンキセスが任命されたが、とある事件によって西部副将軍に左遷。以後、中央将軍は空位となっていた。実質上、アムリウスが中央将軍の役目を果たしている。
パラティヌス王国暦251年段階では東部将軍にはオディロン、南部将軍にはゴデスラスが担当している。
■中央部ラティウム
中央部は地形的に4つに分けられ、豊かな黒土地帯が広がる中央平野部は夏は高温、冬は低温低湿。東部峰の高地につながり平野が少ない東部。山脈地帯で険しい地形の南西部。北端に海があり、年間をとおして気温が非常に低い高地の北部。その為大きな森林が形成されない。
■西部ウェンティヌス
僅かではあるが豊かな平地を持ち、周囲は丘陵地に囲まれている。湿潤な気候で沼地なども多く見られる。比較的温暖な地域で、農作物も生育しやすい環境である。平地は綿花や麻、丘陵地は果実の栽培に適している。
■東部カピトリウム
領地の大部分は高地で、寒暖の差が激しく生活するには厳しい環境。降雨量が少なく、農作物の栽培には適さない。山岳部・北部は豪雪地帯である。
■南部アルバ
バトゥルメント山脈によって他と分断された地域。長い年月を経て大地を侵食・風化してできた山や谷が多く存在し、他の地域と分離されている。ゼノビアとの国境にまたがる峡谷もある。年間をとおして気温が高く、草や潅木が生育している乾燥地帯で、夏には短めの雨期がある。 |
■ローディス支配
ローディスからの講和条約に調印したパラティヌスには、以下の条項が提示された。
●全国民のローディス教への改宗
●教皇及びローディス教国への忠誠
●国民階層制の導入
●納税の義務
また、ローディス教皇は国王プロカスをそのまま国主として任命し、ローディス教国の派遣する三司官(軍官・行政官・祭儀官)に従い、国を統治するよう指示した。
これを境に、パラティヌス王国はローディス教国領となった。
●ローディス教への改宗
主神の変更だけを徹底し、その他の部分(祭儀など)には柔軟に対応した。これは最小限変更による効率重視、かつ抵抗少なく改宗を進めるための措置でもある。以後、各教会ではローディス教が説かれる。
●教皇及びローディス教国への忠誠
ローディス教国の支配下にある全ての国家、及び人民は、主フィラーハの使徒筆頭である教皇に対する忠誠と、神の選びし国、ローディス教国への忠誠を誓う事となる。
●国民階層制
ローディスは従属国に対し、自国で実施している国民階層制の導入を強制した。上級民と認定された貴族や商人たちは、他国民でありながらローディス教国における爵位を得る事となる。
●納税の義務
ローディス支配下の他国と同様に、領国として税を納める事を義務付けられた。通常は農産物、又は金品を納めさせたが、パラティヌス王国に対しては地質調査により、バルダー金属の元となるバルダー鉱石が豊富に産出される事が確認されると、それを中心に納めることを義務付けた。
●三司官
ローディス支配下の各国に送り込まれる教皇の代理人。軍官・行政官・祭儀官と呼ばれる三部門の官吏により構成される。その発言は教皇の言葉として扱われ、その性質から『教皇の目・耳』と呼ばれる。
・軍官
パラティヌス王国の軍事行動・軍備状況を監督する官吏。反乱行動の抑止が主な任務であり、他の官吏よりも強い発言力を持つ。
多くの場合、騎士団を率いる者(領主等)がこれに任命され、一定数の騎士と共にその地に常駐する事となる。
・行政官
政治面の監督官。ローディス教国中央ではかなりの高官となるが、従属国においては三司官中、最も低い地位として扱われる。(性質上、軍官、祭儀官の順に重要とされる)
他の官吏により必要なことが決定される為、決定事項の連絡・実行がその役目となる。
・祭儀官
宗教面の監督官。この任に就く聖職者達は、他の官吏の職務にはほとんど関心を示さず、ローディス教の布教に専念するといわれる。
実際、その多くは自ら各地の教会へと出向き、熱心にローディスの教えを広めている。 |
■民族
●金の民
長い間の農耕生活、また多民族との争いが少なかった為、比較的温厚な気質である。
パラティヌス建国後、王を輩出した民族として多くの者が貴族化したが、それにより本来の地味で保守的な部分は失われつつある。
外見的特長として白肌、金髪で波状・直毛の髪質、青・緑の瞳。
建国当初から貴族には金の民が多かったため、金髪・碧眼を尊ぶ習慣がある。
●藍の民
長い遊牧生活の中、多民族との争いを繰り返してきた為、革新的で尚武な気質を持つ。戦いに従事する者の間では、呪術的意味合いから髪を編む風習があった。
金の民と比較すると粗野であり、戦いに従事する事を望む者が多いのも特徴である。
外見的特長として白・褐色の肌、茶・藍・紺で波状・直毛の髪、茶・藍・黒の瞳。
●南部部族
元々は南部地域に住む部族意識の強い集団。通常親族を基準にまとまって生活するが有事の際には民族としての強い団結を見せる。
パラティヌスがローディスに従属した当時、命を受けたパラティヌスの手により制圧され、多くの民が下級民として強制労働を強いられ、差別・偏見の対象となっている。
農耕に向かない土地で、狩猟採集を中心とした自給自足の生活をしていた為、文化的に他の地域から遅れていたが、パラティヌス(従属前)との交流が盛んになった近年では、その差もほとんど無くなっていた。
外見的特長として褐色の肌、茶・黒で直毛の髪。茶・黒の瞳。 |
■宗教
●バーサ教
大地神バーサを主神とし、セレセス教会を総本山とする宗教。
『生命の誕生を喜び、大地の恵みに感謝し、死の訪れを恐れず、再生に希望を持て』バーサの残したこの言葉が教えとなり、その実践がバーサ教の教義となった。豊かな大地のもと、全ての生命は流転する。夢や希望、歴史や知識…あらゆるものが親から子へと受け継がれ続いていく。死を恐れるのではなく、次の時代へ託せという教え。
元々は自然信仰であるが、農耕民族であった時代の豊穣への感謝、開闢王がバーサの加護をもって戦いに勝利した事、また身近にバーサを崇める教会が多く存在することから、“よりどころ”としてのバーサ信仰が根強い。天界の神々の中でも母バーサを最も身近に感じ敬い、その教えをもとに生きていこうとする信仰ではあるが他の神々の信仰も行われている。
トレモス山は、バーサ神が娘を取り戻す為に冥界へと降りた場所であり、また天へ戻る際に利用した土地とされている。再臨を願う古の王はこの地にバーサ神殿を築き、バーサ教を興したが、開闢王の時代から神殿へ立ち入ることは禁止されている。それ以降、神殿の場所は代々の祭主だけが知ることとなる。
●東方教会
バーサ神信仰の総本山となっているセレセス教会を指すが、広義には東部カピトリウム地域全体を指す事となる。
東部地域には、古の王の時に築かれたバーサ神殿があるといわれ、改宗されてもなおバーサ神を信仰する人々の心の拠り所となっている。
西のローディス教に対し、逆に位置する教会として『東』と呼ばれるようになり、いつからか地域そのものが『東』『東方』と呼ばれるようになった。
建国当初から独立性が高く、ローディス従属後も中央に反発する者たちの拠点となるなど、反体制的存在である。
改宗後もバーサ神を信仰しているのは周知の事実だが、異端の排除を掲げるローディスがそれを見逃す理由は謎である。 |
ローディス教国 |
ガリシア大陸の西に位置し、ローディス教の教義を実践する者の為に存在する国家。
建国当初は王が主権を有していたが、九年前に起きたクーデターを境に、教皇が主権を手にすることになった。
六十年前、『聖地アヴァロン』の奪回と、近隣諸国の教化・改宗を目的に、光焔十字軍を結成。他国への侵攻を開始した。
最近では、十二年前にパラティヌス王国まで遠征。ゼノビア侵攻の中継地と、労働力の確保こそが本来の目的と言われている。
人種・民族・生まれは問わず、優秀な者はより上位に、能力のない者は下位に位置付けれれる。
能力重視の階層制度を用いていたが、上級民の意向により、現在は世襲制・選民思想的なものへと変化している。
神都ガリウスを首都として、ローディス教を国教とするいくつもの国を属国化。
大きく八領に分かれ、各々一つまたは複数の騎士団を持っている。 |
■紋章
教国の紋章は、太陽神フィラーハを表す光焔十字がモチーフとなっている。無機質なデザインは、多神教の多いこの時代の中で、あまたの神々をすべて排除し、主神のみを信仰するかたくなな意思を象徴している。 |
■光焔十字軍
約六十年前、サルディアン教皇の主唱により結成された、異端排除を目的とした武装集団。
ロシュフォル教の使徒によって支配された『聖地アヴァロン』の奪回と、未だ改宗に応じない近隣諸国の教化を目的とし、絶対信仰と絶対服従を強制する為に活動する。
改宗指示に従わぬ諸国に対し、神の名の下に『聖戦』の発動を宣言。ローディスの聖者を示す『光焔十字』の旗の下、異端の粛清、教化の為に派遣される。
これまで、三度に渡る遠征が行われ、それによりガリシア大陸の大部分はローディス教国の支配下に治められる事となった。
当初は聖職者達の伝播にかける思いと、貴族・商人たちの利潤の追及が光焔十字軍の遠征を支え
ていた。しかし近年では、遠征に参加し巨大な富と栄誉を得た騎士たちが、自らそれを支えている。
ローディス教徒で構成され、教皇の勅命とあらばその命を投げ出しても使命を全とうしようとする恐るべき兵士達である。 |
■ローディス十六騎士団
ローディス教国には16からなる騎士団があり武力侵攻の中核を担っている。神都ガリウスでは五つの騎士団が常駐している
●暗黒騎士団ロスローリアン
サルディアン教皇直属の騎士団。16の騎士団の中では最強と言われ、教皇の信任も厚い。
ロスローリアンの実務は隣国の情報収集であったり、秘密工作といった、公には出来ない任務ばかり。暗黒騎士団とはそうした闇の諜報活動からついた名である。
この物語と同時期のエピソード7においてヴァレリア島に派遣されている。
●冥煌騎士団
ローディス教国が誇る騎士団の一つ。以前は代々地方領主であるグレンデル家当主率いる名も無き騎士団でしかなかったが、前騎士団長ゴドフロイ・グレンデルの時代に大きく躍進。筆頭三騎士団の一つとして数えられ、教皇より光焔十字軍の指揮を得るまでに到った。第三次光焔十字軍遠征時にもニルダム王国を襲撃し戦果を挙げる。
しかし、九年前に起きた軍事クーデターの際ゴドフロイ、及びその監督官であったヴォグラス准将の死により、騎士団としての地位を落とすことになる。
現在の団長であり、ゴドフロイの長男リチャードはパラティヌス王国の軍官を担当している。 |
■ローディス教
太陽神フィラーハを唯一絶対の神とし、その使いである聖者ローディスの教えの実践を目的とする宗教。
国民・信者は全て神の子であり、主ローディスの教えを生涯かけて実践する事が神の子の使命とされている。
信仰の模範である聖職者や教皇は神と等しい存在であり、信者の地位・階層の高さは神の子としての到達度とされている。
『自己への過信と他者への盲信を戒め、自らの存在を正しく認識する』この聖者ローディスの教えは、本来“適材適所”といった意味合いであったが、時代と共に“能力第一主義”“支配者と被支配者の自覚”として曲解されていく。
信仰の基となっているのは、多くの神々が登場するガリシア神話(ガリシア大陸におけるゼテギネア神話)であるが、全ての神はフィラーハの化身(冥界の王デムンザを含む)であり神の子である自分達に力を貸す為にフィラーハが変化した姿とされている。
聖地はロシュフォル教と同じくアヴァロン島。総本山は神都ガリウスである。 |
■ローディス人
北方の大国・ローディス教国の民の総称。実際はラウリアやべミア等多民族で構成。 |
ニルダム王国 |
神に導かれオウガバトルに参加したボルマウカ人が建国した国。本来ボルマウカ人は南の大陸に住んでいる民族だが、類希なる戦闘力を神に認められた為、海を渡り永き旅を経て約1000年前、ガリシア大陸のライの海周辺にたどり着き豊かな大地にニルダム王国を興す。
パラティヌス王国歴238年、ローディス教国から改宗を強制されたニルダム国王は、毅然と戦う道を選ぶ。自ら先頭に立ち、ローディス軍と渡り合うニルダム国王であったが、敵の圧倒的な兵力の前に傷付き倒れる。
残された王子たちが中心となり、ローディス教国に立ち向かうと思われたが、敵の甘言に乗り戦いを拒否する側と、戦いの継続を訴える側に分裂。ついには国を二分する戦いにまで発展した。まとまりを欠いたニルダム王国は、その混乱の隙を突かれ、パラティヌス王国暦239年ローディスに屈することになる。
ローディスのニルダム支配は他の属国に対するものとは大きく違い、国としての存在すら許されぬという、異例の措置がとられた。
王子たちは捕らえられ、残る国民は全て『支配されるべき者』として肉体労働を強いられた。
ボルマウカ人の強い抵抗と、他と大きく違う身体的特徴がそれを招いたといわれている。
ローディスによってニルダムは東西に分裂され、ニルダムの民は捕らえられ王子たちは皆ローディスに連れて行かれた。 |
■ボルマウカ人
●外見的特長
褐色の肌に、長い手足とバネのようにしなやかな筋肉をあわせ持ち、目鼻立ちのハッキリした顔立ちと、黒く大きな瞳が特徴的である。
●民族的特長
神に導かれオウガバトルに参加した民族である事を信じ、それを誇りとしている。プライドが高いと同時に、民族自決心、同民族間の団結力も非常に強い。高貴な血と誇りを持ち、血の絆を尊ぶ民族である。
剣や盾を用いずに、自身の肉体を基本として戦う伝統武術を持つ。本来ボルマウカ人は南の大陸に住んでいる民族だが、オウガバトルの時代、類気なる戦闘力を神に認められた為、その導きにより南方の大陸から海を渡る。永き旅を経てライの海周辺にたどり着き豊かな大地にニルダム王国を築く。
炎神ゾショネルを尊び、勝利の祈りを、勝利の喜びを気高き女神ゾショネルに捧げ、戦士としての名誉を得ていた。 |
新生ゼノビア王国 |
ゼテギネア大陸で、旧ゼノビア王国の残党を中核メンバーとする反乱軍が神聖ゼテギネア帝国を滅ぼし、ゼテギネア暦250年に建国した王国。
北にパラティヌス王国との国境であるカストロ峡谷があり、ライの海によってガリシア大陸を隔てられている。ゼテギネア大陸にはロシュフォル教・ローディス教の聖地アヴァロンが存在する為、聖地奪回を目指すローディス教国との間で問題が起きている。 |
■ゼノビア人
ゼテギネア大陸の大国、新生ゼノビア王国の民の総称。
実際はシャロームやハイランド、ドヌーブ、ホーライ、オファイスというように多民族で構成。 |
■ロシュフォル教
前ゼノビア王国を建国したロシュフォル皇子が興した宗教でゼテギネア大陸で広く信仰されている。
主神はフィラーハだが、ローディスのように神を唯一絶対の者としているわけではなく、神に頼むのでなく自分を鍛錬して神に近づき、神とともに歩む為の宗教。
総本山はアヴァロン島。 |